第3節 広告しろ、宣伝しろ、営業しろ

 モノの本によると人脈づくりは、高校や大学の友人からはじまりPTAの父兄、趣味の会やサークルで知り合った人びとということらしいが、そんな数ではたかがしれている。開業の際に挨拶状を百枚程度出したくらいでは、すぐに仕事の依頼があるものではない。
 ただ、このような人びととの交際は欠かさず、年賀状、かもめ〜る、さくらめ〜るなどで筆まめに季節の挨拶、また、時には出向いて行くなど日頃からもいい関係をもっていなければならない。こちらの用事がある時だけ電話をする、連絡するというのでは相手からの信頼は得られない。
 友人知人の人脈を仕事に結びつけるのは時間がかかる。営業効果という視点からいえば、いわば漢方薬のようなもので、じわーと効いて大きな効果が期待できる。長い目で見て継続して続けなければならない。こういう時には石の上にも三年(で効果がある)と考える。
 しかし、漢方薬ばかりでは即効性に欠ける。三年も待っていられない。すぐにも仕事がほしい。依頼を受けるためには、ここで営業効果がたちまち発揮されるような、いわば漢方薬に対するペニシリン(penicillin)のような抗生物質も必要である。
 そこで、顧客のニーズはどこにあるのかを見極めターゲット(target)を絞り広告、宣伝、営業する。「私は行政書士です。あなたのために○○をします。事務所は○○で、電話番号は○○です。」
 行政書士は商売ではないのだから営業などするものではないという意見もある。
 「広告、宣伝は業務のビジネス化を招来し公共的使命感を忘れ、利益追求のための依頼者獲得に走り、品位を低下させ、国民の信頼を失わせるから広告、PRはダメだ」という論法である。
 専門ないし得意の分野を積極的にPRすることが、どうして品位を低下させ国民の信頼を損なうことに結びつくのだろうか。
 競争はしないでおきましょう、お互い仲良くウマクやりましょう、というのは、そりゃア行政書士同士ならば通用するかもしれない、が、一般社会では通用しない。
 競争しないことがいかに世の中の動きとギャップ( gap)を生むことか。他の士業界の例を見るまでもなく自明の理である。個々の○○士、○○士会の頭の中に潜んでいるギルド( guild)的な考え方が、こうした広告を阻んでいることもまた事実である。
 行政書士に行政書士の業務を知らせるのではない。世の中の多くの人びとに知らせるのである。広告していただきたい。宣伝していただきたい。
 英語でチャンス・メーカー(chance maker)という言葉がある。チャンス・キャッチャー(chance catcher)とはいわない。チャンスは作るものだ。ビジネスチャンス(businesschance)は、こちらが作っていかなくてはならない。待っていても来るものではない。
 開業体験談で、仕事は「たまたま知り合いから依頼された」「紹介で偶然に依頼された」という話しがよく聞かれる。「たまたま」「偶然」といっても、これは「棚からぼたもち」なのではない。いくつものchance(偶然、運、巡り合わせ)を花の種を蒔くようにして作り、by chance(偶然、たまたま)依頼されたのである。仕事が来るのを待っていただけなのではない。待っているだけの行政書士を見受けるが、それは百年河清を俟つのごとしである。
 新聞、雑誌、夕刊紙、業界紙、タウン誌、その地域に人口が三万もあれば地域情報紙がある。団地や住宅地に配られるコミュニティペーパー( community paper)、自治体の広報誌、各種団体の広報・PR紙、市議会議員などが発行する広報誌など、大小さまざまなメディアがある。
 これらに広告を掲載すること。自分のことをひとりでも多くの人に知ってもらわなければしょうがない。