◆まだ過当競争になっていない

 弁護士には司法修習生として国費で学ぶ二年間の実務研修の期間がある。行政書士には、このような制度はない。
 行政書士の資格はもっていても、実際の実務に従事した経験が浅かったり、まったくなかったりで実務に精通している者が少なく、他の士業界に比べて過当競争になっていない。
 行政書士は、一日でも早く実務を覚え自分の専門を創り、それを何度も繰り替えし場数を踏むことが、そのままこの業界でオーソリティー(authority)になる早道である。
 現在は経済的に安定し社会的によく知られた国家資格であっても、年々資格者が開業してくるために相対的に顧客が減少して収入が頭打ちの士業者も多い。たとえば税理士は現在約58,000人、毎年1,000人が新たに増える過当競争の業界である。報酬のアップもままならず、月額の顧問料は20年前よりも安く設定しているほどである。
 月満つれば即ち虧くといって、全盛時代があればあとは衰えるばかりである。過去現在がよくても未来永劫それがつづく保証などはない。名前の有名な資格ばかりにこだわることはないのである。
 行政書士は、ようやく少しは有名になってきて発展の途についたばかりである。まだまだこれからの資格である。いわば未熟な資格といえるかもしれない。しかしそこが、これから行政書士をめざす人、行政書士こそ将来の天職と信じる人、新規参入者にとっては有利なのである。