◆多くの顧客ができる

 その名称が、ともに「○○書士」だから似ていて、よく間違われる資格に司法書士がある。その仕事の内容は勿論異なるのだが、もっとも大きな違いは対象とする顧客が違うということである。行政書士は登記ができないから司法書士よりもウマ味がない、などということよりも、いったい顧客はどこにいるのか、ということの方が重大な意味をもつ。
 司法書士の顧客は、登記をする人が依頼者になるとはいっても、実際は、金融機関である。人は不動産を購入するに銀行から金を借りる。金を貸す銀行は、抵当権を設定し、所有権を移転する。この登記業務を司法書士に行わせるが、銀行が介在して依頼するのであり、司法書士が客から直接依頼を受けるのではない。
 司法書士にとっては銀行が主たる顧客であるといってよい。この銀行が今後とも増えつづけるわけがないから、すでに顧客(=銀行)をもっている司法書士はいいが、これから開業する司法書士は顧客の獲得が大変である。登記所前に事務所を構えたところで飛び込み客に、収入の多くを期待できない。
 行政書士は、直接に顧客と知り合う。街を歩く人びとの一人ひとりが顧客の対象である。銀行どころかすべての企業が顧客の対象である。口コミ(communication)による紹介もあれば、事務所への飛び込みもある。不特定多数の人々がいつでも行政書士の顧客になるし、日本だけでなく世界中の人びとが顧客になる。多くの顧客ができるのである。