◆補助者を雇うか、ひとりでやるか

 ところで、行政書士にとって補助者とは何か?、補助者を雇う理由は何か?
 経営者側からいえば、補助者を雇うには2通りある。
 ひとつは、配偶者以外のパートナー( partnar)としての補助者である。
 たとえば、豊臣秀吉には竹中半兵衛、黒田官兵衛がいて、徳川家康には本多正信がいた。漢の高祖には張良である。織田信長やナポレオンは例外であり、歴史上、天下取りには軍師、謀臣はまず欠かせないようだ。
 もうひとつは、補助的な業務を行なわせるスタッフ( staff)である。これは文字どおり補助者であるから、未経験者を雇ったならば一から指導しなければならない。海軍大将山本五十六が言ったように「やってみせ、言ってきかせて、やらせてみ、ほめてやらねば人はうごかじ」という精神をもって、時間と費用をかけて育てていかなければならない。通常補助者といえば、こちらをいう。
 士業者を職とする理由のひとつに「人に使われたくない」というのがある。それはまた「人を使いたくない」ということと表裏の関係にないだろうか。人の使い方に人一倍気を使う人である、ということになる。
 使われる立場からいえば、「補助者希望」「見習いで働きたい」という場合、それは将来の独立までの間、それもできるだけ早く役に立つことだけを覚えて独立しよう、ということになる。その為には給料はいくらでもいい、極端なのはタダでもいいという。
 使う立場からいえば、仕事が忙しく手伝ってほしいから雇う。お金のことをいうならば、どちらかといえば給料は多く払ってもいいから仕事をやっていただきたいのである。人に教えるということはお金よりも貴重な時間がかかる。お金の10万や20万は余分に払ってもいいから時間には代えられない。
 安い給料でもいいから働きたい、勉強になるからタダでもいいというのは、まったく時間のムダだからやめた方がよい。
 補助者を雇ってみたら開業のための実務習得ばかりを考えている、という声がある。事務所のためとか依頼人の立場に気を配らない。自分から進んで仕事をしようとしない。言われたことしかやらない。簡単な仕事もできないのに興味のある仕事になるとやらせてくれと自分のためになる仕事を選んでいる。雇われる方は就職とは考えないのかもしれないが、仕事のやり方を教えるために雇うのではない。
 補助者を希望する方は、その年月を終えたならば何歳になっているのかも考えてほしい。行政書士が現役でバリバリやれる年齢は限られている。やるならば一日も早く独立開業すべきであろう。
 また、学生時代から国家資格を受験し続けている人の中には何年も無職であったり、いわゆるフリターぐらいしか経験がなく、企業で社員教育を受けた経験がない人が少なくない。
 試験のための勉強ではなく、社会で通用する常識人のための教育が受けられる時代というのは新入社員のほんの一時期である。
 社会に出てそれなりの年齢に達すると、その人の言葉づかい、挨拶の仕方、態度などが、社会人として常識にずれているなと感じたとしても、誰も忠告したり、助言したり、注意してくれなくなる。まして士業者になればなおのことである。
 年齢にふさわしい常識を身につけておく時代が必要である。