◆什器備品と文書管理

 行政書士は極端な話し「ペン一本」で仕事ができる。特別な設備は必要としない。
 仕事のやりやすい環境と顧客から預かる大切な書類を保管する場所と必要な参考書籍があればよい。
@事務机
 机は大きければ大きいほどよい。書類を作成するに、提出書類、疎明資料、参考図書、預かり書類など、書類の山に囲まれて仕事をする。机の上が狭いと仕事の能率が悪いし、書類の紛失の原因にもなり非合理的である。机の上を広く使うため整理整頓する習慣と性格がなければならない。
Aキャビネットと書棚
 書類の保管場所はキャビネットである。顧客からの預かり書類、書類作成資料、事務所控用の申請書のコピーなどを保管する。
 申請書のコピーは顧客管理のための書類であり事務所の財産である。守秘義務を遵守しつつ業務拡大に威力をもつツール(tool)である。文書類の整理、管理には十分留意し業務の合理的能率につなげる。
 書棚は、業務上の参考書籍、顧客からの預かり書類、未提出書類の正本、副本の置き場としても重宝する。
B参考書籍
 業務のための参考書籍を備える。書籍ばかりでなく、新聞、雑誌など行政書士にとって情報収集は商品仕入である。これなくしては売上は上がらない。
 行政書士の実務に最適な書籍も多数出版されているので書店で買い求める。
C応接デスク
 顧客の来訪に備えて応接セットは備えるが、よく見受ける机が低い応接四点セットよりも会議用のデスクがよい。机の位置が低いと、顧客に署名してもらったり捺印を受けたり書類に記入してもらうにははなはだ使い勝手が悪い。
 会議用のデスクならば、机の高さ広さともちょうどよく、来客中以外は仕事のスペース( space)になり、書類の置き場になり、またコーヒータイムの場所にもなる。
Dコピー機
 業務に必要なOA機器としては、コピー機、パソコン(ワープロ)、ファクシミリの三つが行政書士の三種の神器(?)である。
 コピー機は、業務の事跡を残すのに必要な備品である。書類の作成は原則として正本と副本の二部作成する。正本は官公署に提出し、副本は顧客の控えとして保管してもらう。
 作成した書類は事務所の控えとしてコピーをとる。官公署は書類提出後も内容について問い合わせてくることがある。ひとつはこれに応答するため。ひとつは次回の業務の参考にするためと顧客に有益な情報提供の資料とするからである。
Eパソコン(ワープロ)
 行政書士は書類を書くことがあるが、ペンで書くよりもワープロ(word processor)で作成する。申請書、届出書、議事録、契約書などワープロで作成した方が能率的である。きれいな書類ができる。どんなに達筆であったとしても、ワープロの文字にはかなわない。ワープロができない方はできるようになること。自転車に乗れることと同じで当然のことである。「私は、できません」などと平気で言う人は行政書士にならない方がよい。
 ワープロ教室などに行かなくてもワンフィンガー(one finger)で結構、株式会社の定款でもいいからいちど作成すればたちまちウマクなる。今日からあなたも、ワー プロ!
 ワープロ機能だけでなく、データーベースで顧客管理を行い、簡単にダイレクト・メール(direct mail)の300通も送れ、表計算や財務計算などの機能が備わったパソコン(personal computer)の方がこれからの道具である。
 顧客管理にフロッピーを用いる。フロッピーは安くなり一枚に一社の顧客情報と書式を保存しておくことになる。事務所控えをコピーや書類ではなくフロッピー・ディスク(floppy disk)に保存しておく。申請書類の作成が主としてパソコンになりフロッピーが安くなり、(高い家賃の)事務所の場所(space)をとらないということが一番である。
 パソコンの機種選択についていうならば、いかに快適に使えるかということと、当然予算である。
いわゆるマルチメディア社会がやがて到来することは言を俟たない。それには、情報の通路となるネットワーク、情報を受けて処理するコンピュータ端末、そして情報そのものであるソフトウェアの三つが必要である。行政書士もパソコンのひとつも使えないことには時代に遅れる。そこでいいパソコンがほしくなる。
 最初は安いのでいいとか、ワープロソフトだけでいいとか、容量の小さいマシンを選びがちであるが、初心者こそできるだけ大きなモノを選んだ方が賢明なようだ。
 自動車を買うとする。車はA地点からB地点に行く道具にすぎないから動きさえすればいいと1000tの車にする。勿論それで十分なのかもしれないが、車に四人が乗るとたちまち窮屈である、スピードが落ちる、坂を昇るに加速ができなくなる。車ならば、人を降ろせばいいが、パソコンは一度四人乗せるといつも四人乗っていなければ仕事にならないと考えればいい。快適に運転するためにカーナビゲーションシステムは後から取り付けられたとしても、2000tのエンジンには取り替えられないということである。
Fファクシミリ
 迅速に確実に情報を交換するファクシミリ(facsimile)は行政書士にとっても必需備品である。
 @顧客に準備してもらう書類の一覧をファックス(fax)する。
 A会社を設立する際にあらかじめ印鑑証明書をファックスしてもらう。
 B住民票をファックスしてもらう。
 C仲間の行政書士から業務情報をファックスしてもらう。
 Dわからない書式をファックスしてもらう。
 E書き方をファックスしてもらう。
 ファクシミリは行政書士の仕事にとってとても便利である。書類が行き来する訳であるから、書類のプロとしてはこれほど重宝するものもない。
G電話
 客はわざわざ来ないが電話は来る。開業の当初からそんな事務所にしなければならない。
 電話は(顔が見えない)事務所の顔である。「はい、○○事務所です。」という。
 自宅を事務所にした場合でも電話は事務所用と自宅用とわけた方がベスト(best)。
 電話は、ひとつには顧客に応対する窓口としての受信道具である。顧客が事務所を訪問することはめったにないが電話は頻繁にある。またそうでなければならない。
 顧客以外にも官公署、行政書士、他の士業者などからの連絡、応答、問い合わせ、顧客の紹介、相談などの電話がくる。
 もうひとつには電話営業のための発信用具である。顧客から仕事の依頼の電話を漫然と待つのではなく、こちらから積極果敢に電話営業をする。業務受託の有効な武器でありツール(tool)である。
 @留守番電話
 行政書士は事務所内だけで仕事をしているわけではない。官公署へ書類を提出する。顧客を訪問する。人びとと会い人脈を広げる。顧客開拓の営業にでかける。
 電話をかけてもコール(call)が鳴り続ける行政書士がいる。これでは何のための電話か。事務所を留守にするならば電話を受けてくれる人が必要である。留守番のためにだけ人を雇うことはできないので留守番電話を使う。
 電話をかけるとテープが作動する。どこへかけても聞き馴れたテープの声が決まった台詞をはじめる。家庭用ならばともかく業務用としてはこれではメッセージ( message)を入れる気がしなくなるのではないか。
 電話の特性は先方の今と当方の今を結ぶ即時性である。これでは顧客の信頼を得られない。着信すれどもメッセージなしということになる。大切な顧客を失う。デンワ急げである。
 A留守番電話とポケベル
 電話の即時性のためにポケベルを併用する。留守番電話が先方の名前、電話番号、メッセージの受信を終えたならばポケベルが鳴る。事務所へ戻ってからテープを聞くのではなく、出先で内容を確認して即時に先方へ電話を入れることができる。
 B秘書センター
 秘書センターの利用をすすめる。
 留守番電話だと思うとすぐ電話を切る人も多い。人の生の声での応答があった方がいい。留守中に事務所にかかった電話を秘書センターに転送しいつでもパーフェクト(perfect)に応対してもらえる。
 スタッフがいる事務所でも全員が留守にする、昼休みがある、土曜日は休みである。こんな日には重宝である。
 秘書センターでは事務所名を名乗りあたかも事務員のごとく親切丁寧に応対してくれる。留守中にかかった電話は、事務所に戻ってからあるいは随時外出先から電話をいれて報告を受ければいい。
なまじ気のきかない事務員を雇って顧客に苦情を言われるよりは電話の要望と信頼に応えてくれる。新規の顧客や飛び込み客にも十二分に応対してくれビジネスチャンスを逃すことはない。費用も一か月一万円からである。ぜひ利用したい。
 C秘書センターとポケットベル
 さらにポケベルをもつことにより顧客の緊急の用件に対しては秘書センターよりポケベルで呼び出してもらえる。顧客からの急な訪問時間の変更、待ち合わせ場所の行き違い、急ぎの連絡やせっかちな(?)社長に対してはポケベルで五分以内で先方に電話をすることができる。
 D携帯電話
 携帯電話をもつ行政書士が増えている。
 活動する飛び回る行政書士にとってはポケベルでさえも即時性が小さく直接本人と話しができる携帯電話が必要になる。細かな点や秘密事項も社長本人に確認することもでき、必要なときが話したいときになる。
 それほど急ぐことでもないのであるが、事務所を留守がちな行政書士、常に社長と連絡を取りながら仕事をすすめるときには機能を発揮するアイテム(item)である。
 事務所を設けるという発想よりも、いつでも、どこでも、車の中、電車の中、行政書士のいるところすべてが事務所である。立派な事務所を構えて‥などと言っていることが時代遅れになってくる。
Hカバンなど
 @カバン
 カバンはいいものをもちたい。収納ポケットの多いものが便利だ。T・P・Oにあわせていくつかを使い分けることができればいい。
 A文具類
 シャープペンシル、消しゴム、ボールペン、修正液、朱肉、印鑑マット、付箋
ラインマーカー三色(そこに書いてあるだけで役立つ情報は黄色、不完全な情報は緑色、詳しく調べる情報は赤色でチェックする。)のり、はさみ、セロテープ、ホチキス、インデックスラベル、ゼムクリップ、カッターナイフ
 Bその他
 フォルダー、情報カード、ラベル、定規、電卓
I自動車ほか
 交通の便のいいところでは必要ないのであるが地方においては自家用車が必要である。顧客への訪問にしても、官公署へ行くにしても足の便がなくてはならない。行政書士はフット・ワーク(footwork)がよくなくてはならない。
 東京の行政書士でもオートバイに乗って走り回っている。四輪だと交通渋滞で予定通り走らないことがある、顧客と約束の時間が守れないことがあるからである。
 その他、エアコン( air conditioner)、冷蔵庫など必要に応じて備えればいい。