第3章

開業前に
準備しておくこと
開業する前にこれだけはやっておきたい

行政書士の実務を知ろう
サイドビジネスで、ボランティアで
経営法務コンサルタントとして
人びとの相談に応じてみよう。

第1節 合格したら
     実務を学ぶ
     行政書士になる前の実務とは

◆合格したら実務を学ぶ

 行政書士試験に合格したならば、実務を学ぶことである。資格はもっているだけでは意味がない。 資格を活かさなくてはいけない。そこで資格にプラス実務。これからは、コレである。せっかくとった資格であるから少しは実務に触れてみる。実務の雰囲気を味わってみる。 

 行政書士を開業するのではない。勉強した法律(民法、行政法など)が、実務にどう活かされるのか、実際に試してみるのである。以下、行政書士の実務に関するものである。

@身分証明書(身元証明書)
  民法総則で行為能力について学んだ。民法は、未成年者(民法3条以下),禁治産者(民法7条以下),禁治産者(同法11条以下) を無能力者として保護する。
  ところで、その人が未成年者か否かは、運転免許証、学生証などで容易にわかる。では、その人が禁治産者・準禁治産者か否かはどうしたらわかるのであろうか?何かに記載されているのであ ろうか?その証明はあるのだろうか?
 この証明書を身分証明書(身元証明書ともいう)という。本人またはその代理人に限り申請することができる。申請する役所は本人の本籍地がある市(区町村)役所である。禁治産者、準禁治産者、そして破産者(破産法)でなければ、「一 禁治産者または準禁治産者でない。一 破産者でない。」の証明書が得られる。

A不動産登記簿
 民法物権では、不動産の登記が第三者に対する対抗要件であると学んだ(民法177条)。 
  そこで、登記所(法務局、地方法務局およびその支局、出張所)へ行き不動産登記簿を閲覧してみよう。
 不動産登記簿には土地登記簿と建物登記簿の2種があり、それぞれ1筆の土地または1個の建物につき用紙が備えられている。各登記用紙には、表題部、甲区、乙区が設けられている。表題部 には、不動産の表示に関する事項が記載されている。甲区事項欄には、所有権(同法206条以下)に関する登記がなされる。乙区事項欄には、所有権以外の権利に関する事項が記載される。住宅ロ ーン会社や銀行から金を借りている場合に、抵当権(同法369条以下)や根抵当権(同法398条の2以下)が設定されていればこの乙区に記載される。

B実務に役立つ本を見る
 行政書士の実務に役立つ本を読んでみよう。
 時効の中断事由に請求(民法147条1号)がある。友だちに金を貸したが返してくれないなど、貸金の請求は内容証明郵便で催告 (同法153条)をする。この場合には「内容証明の実例事典」「内容 証明・公正証書起案作成の手引」などが役に立つ。
  内容証明書を送ったくらいでは返済に応じないならば、ただちに支払命令(同法150条)を申立てよう。「支払命令のすべてがわかる本」には、その書式と書き方、費用などについて詳しく解説されている。
  その他、売買(同法555条)契約、賃貸借(同法601条)契約など、契約書に関する書式の見本も「契約書とその応答文書文例300」「契約の一般知識と基本文例60」などで知ることができる。

 人が死亡すると同時に相続が開始し(同法882条)、相続人は、相続分に応じて被相続人の権利・義務を承継する(同法899条)。相続人が数人いるときは、遺産は、相続人の共有となる(同法898 )が、次に相続分に応じて具体的に分けられることになる(遺産分割)。
 相続は、誰にでも発生する身近な問題である。「相続・贈与がわかる事典」や遺言に関する本で相続や遺言、遺産分割協議書や遺言書の作成の知識を得ておくことである。

Cどんな官公署があるのか
 自分の住んでいるところには、どこに、どんな官公署があるのだろうか。
 (都道府)県庁、市(区町村)役所、税務署、(都道府)県税事務所、警察署、消防署、陸運事務所(支局)、保健所、法務局(登記所)、簡易裁判所、社会保険事務所、労働基準監督署、公共職業安定所など。
 公証人役場とは、どんなところで、何をするところなのだろうか。自分が住む地方を管轄する法務省入国管理局や大使館、在外 公館はどこだろうか。地方建設局とは何か、どんなときに行く役所なのだろうか。また、国民金融公庫というのはどこにあるのだろうか。

D戸籍謄本
 戸籍法で学んだ、戸籍の謄抄本を本籍地の市(区町村)役所に請求して(戸籍法10条)実際に現物を見てみよう。どのようなこと が記載(同法13条)されているだろうか?
 戸籍は、人の出生から死亡までの身分関係を記録し公示する制度である。その記載は、出生届・婚姻届・死亡届など、そのほとんどは届出によって行われる。行政書士となったあかつきには、相続業務を依頼されれば、必要書類として相続人や被相続人の戸 籍謄抄本、除籍(同法23条)謄本を請求することになる。

E戸籍の附票
 住民基本台帳法で学んだ、戸籍の附票(住民基本台帳法16条)とはどんな書類だろうか?実際にこの戸籍の附票の写しの交付(同法20条)を受けよう。これも本籍地の市(区町村)役所に請求する。どのようなことが記載(同法17条)され、これから、どのようなことがわかるのだろうか?

F商業登記簿
 商法では、株式会社について学んだ。定款(商法165条)とは具体的にどんなものだろうか?何が記載(同法166条)されている のだろうか? 定款の認証(同法167条)とは何で、公証人とはどういう人で、どこにいるのだろうか?
  合わせて、「株式会社・有限会社の定款のつくり方と実例」「1週間でできる株式会社・有限会社のつくり方」などを見ておくのもいい。
  登記所へ行って、法人の商業登記簿謄本を閲覧してみよう。近所の魚屋は有限会社らしい。本当かどうかちょっと調べてみる。正確に住所と名前をメモして管轄の登記所へ行く。閲覧してみる。 商業登記簿謄本も申請してみよう。

Gその他の実務で役立つ法律
 行政書士の試験科目ではないので勉強しなかったが、将来、実務に必要となる法律も少しは学んでおこう。
 外国人関係業務に必要なのは、国際私法を内容とする法例、外国人の帰化申請の業務では、国籍の取得および喪失に関して規定した国籍法、外国人の日本における在留許可申請、外国からの招へい許可申請などには、出入国管理及び難民認定法である。
 有限会社設立業務ならば有限会社法、建設業許可申請ならば建設業法、その他、宅地建物取引業法、風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律など多くの法律がある。法律そのものはそれほどおもしろいものではないが、このような根拠法規があるのだな、という程度の知識でいいから知っておくとよい。実際に実務に携わったときに、すぐ手に取れるようにしておけばよいであろう。
 試験に合格したのだ。これからは試験のための勉強ではなく、実務のための勉強だ。これからがますます法律がおもしろくなるのだ。人びとの役にたつ、ホンモノの法律を学ぼう。