◆行政法の対策

 行政法は、受験生にとってとりつきにくい科目のようである。とりつきにくいから勉強する時間も少なく結局苦手としていくことが多いようである。
 行政法という法律があるのではなく、広く行政に関する法規を総称して行政法という。多くの法律が相互に関連がなく抽象的な概念で考えがちになるからいけないのである。
 行政書士試験では行政法規そのものを研究するのではなく、そもそも行政に関して法があるとはどういうことなのか。それは何のためにあり、どのように機能するものなのかを考えて勉強すること。
 「行政行為」といわれても無味乾燥である。それを、たとえば車の運転免許は日常語では「免許」というが講学上「行政行為」の「許可」にあたる。許可とは、法律によって一般に禁止されている行為を特定の場合に解除することをいう。
 このように行政と生活との具体的な関わりを考えながら学習すべきである。
 6年間の行政法の出題傾向をまとめることができる。過去に出題された問題がちょっと形を変えてまた繰り返し出題されている。その内容もだんだんと限定されてきているといっていい。試験の傾向を把握して、過去の問題をていねいに繰り返してやってみること。短期集中の勉強で 6問全問正解も不可能ではない。
 今後も過去に出題された基本的な内容を中心に一部細かい知識も問われることがあるかもしれない。しかし、まず基本的な勉強が必要であるということはいうまでもない。
@行政行為の種類
  法律行為的行政行為の下命(禁止)、許可、免除、特許、認可、代理、それぞれの定義と具体的な例を過去の試験に出題されたものを中心に覚える。とくに、許可と特許と認可の違いは重要である。準法律行為的行政行為の確認、公証、通知、受理も同じく、それぞれの定義と具体例を覚えておくこと。
A法律行為の効力
  a拘束力(通用力)、b公定力、c(自力)執行力、d不可争力、e不可変更力、以上 5つの効力の定義を覚えておくこと。
B行政行為の瑕疵
 違法な行政行為(法の定める要件に合致しない場合)と不当な行政行為(公益に合致しない場合)を瑕疵ある行政行為という。違法な行政行為は、取り消しうべき行政行為(公定力がある)と無効な行政行為(公定力がない)に分けられる。それぞれの意味を理解する。行政主体(国、公共団体など)の違法な行政行為なのであるが、それにもかかわらず公定力があるとはどういうことなのか。では、それに対して、行政客体(人、法人)はどうした らいいのだろう。そう考えるところに、次に行政救済法へと勉強をすすめていく。
C取消しと撤回、附款
 日常的に「交通違反で自動車の免許を取消された」というが、これは、「取消し」ではなく、講学上行政行為の「撤回」にあたる。では、行政行為の取消しと撤回はどう違うのか、その取消権者、撤回権者は誰か。
 行政行為には、a条件、b期限、c負担、d取消権の留保(撤回権の留保)、e法律効果の一部除外、が附されることがある。これを行政行為の附款という。それぞれ定義を覚えるとともに、具体的なものにはどういうのがあるか。
D行政強制と行政罰
 行政強制には、行政上の強制執行である行政代執行、執行罰、直接強制、行政上の強制徴収と行政上の即時強制がある。それぞれの定義を覚え、行政代執行はその手続き、また即時代執行についても理解する。行政強制は、行政法上の義務の不履行を前提とする直接的強制手段である。行政上の過去の義務違反に対する制裁としては行政罰がある。行政罰には行政刑罰と秩序罰がある。
E国家賠償法と損失補償
  国家賠償法は1条から6条までしかないが、条文と合わせて過去の判例の内容を把握しておく必要がある。平成4年度に出題された損失補償に関する設問は、判例の知識がないと正解できない問題だった。国家賠償訴訟に関する知識は、行政法とともに社会分野の時事問題対策でもある。新聞、テレビなどで、国、地方自治体が被告となって争われている裁判に関してはチェックしておくことが必要である。
F行政事件訴訟法
  行政事件訴訟の4つの類型(抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟)をそれぞれ整理し条文にそって理解し記憶する。また抗告訴訟は、当然に処分取消訴訟が中心であるが、それ以外の裁決取消訴訟、無効等確認訴訟、不作為の違法確認訴訟とは何か。 また無名抗告訴訟とは何か。それぞれ過去の具体的な訴訟および判例をもって理解しておいたほうがよくわかると思う。