◆憲法の対策

 この6年間、憲法については、第2章(9条;戦争の放棄)を除いて、第1章天皇から第10章最高法規まで全般にわたって出題され、とくに、基本的人権については、毎年必ず出題されている。幅広い勉強が要求される。
 ただ、例年基本的な条文からそのまま出題されているので、レベルの高い本よりも、まず、行政書士試験用に書かれたテキストを見ることから始める。その際、103条の中から該当する条文をよく読むことである。平成2年度には憲法前文の穴埋め問題が出題されているので、憲法前文も読んでおいてほしい。

第1章 天皇
 日本国憲法では、天皇はどのような地位(1条)にあるのか、大日本帝国憲法(明治憲法)の場合と対比させ、その違いを理解する。内閣の助言と承認(3条)のもとに、天皇は国事行為(7条)を行なうが、その権能(4条)はどうなのか。天皇は、誰の指名に基づいて誰を任命(6条)するのか。とくに国事行為での「公布する」「召集する」「解散する」「公示する」「認証する」「授与する」「接受する」と、文尾に注意して記憶する。

第3章 国民の権利および義務
 基本的人権からは、例年必ず出題されるのでまとめておくこと。
@基本的人権の原則規定
 基本的人権の本質(11条)、権利、自由に伴う義務と責任(12条)、権利の保障と公共の福祉(13条)、法の下の平等(14条)
A自由権
 〔精神的自由権〕
 思想、良心の自由(19条)、信教の自由(20条)、集会、結社、表現の自由(21条)、学問の自由(23条)
 〔身体的自由権〕
 奴隷的拘束、苦役からの自由(18条)、刑事裁判の基本原則(31条、39条)、被疑者、被告人の権利(33条〜38条)
 〔経済的自由権〕
 居住、移転、職業選択の自由(22条)、家族生活における個人の尊厳と平等(24条)、財産権(29条)
B受益権
 請願権(16条)、国家賠償請求権(17条)、裁判を受ける権利(32条)、刑事補償請求権(40条)
C参政権
 公務員の選定、罷免権(15条),憲法改正に対する国民投票権(96条)、地方特別法に対する住民投票権(95条)、地方公共団体の長、議会の議員等の選挙権(93条A)
D社会権
  生存権(25条)、教育を受ける権利(26条)、勤労の権利(27条)、勤労者の権利(28条)
E国民の義務
 教育を受けさせる義務(26条)、勤労の義務(27条)、納税の義務(30条)
 基本的人権についての最高裁判所の判例は重要である。テキストに掲載されている主要な判例はその内容を理解するとともに覚える。さらに六法で条文を読むと、次に判例も掲載されている(ものを使用すること)ので、その一つひとつをつき合わせテキストに掲載されている判例以外にも目を通しておく必要がある。
第4章 国会
  国会は、二院制(衆議院と参議院)をとる(42条)。それぞれ任期、被選挙人の資格、定数などに違いがあり(43条〜47条)、議員には特権(49条〜51条)がある。
 国会には法律の制定(41条)など多くの権能があり(41条以下)、常会(通常国会)、臨時会(臨時国会)、特別会(特別国会)があり(52条〜54条)、天皇が内閣の助言と承認のもとに召集する(7条2号)。
  衆議院と参議院が対等なのは国勢調査権(62条)、弾劾裁判所の設置(64条)、憲法改正の発議(96条)の場合で、次の場合には衆議院のほうが参議院よりも優越する。
  内閣不信任決議(69条)、予算の先議(60条@)、法律の議決(59条)、予算の議決(60条A)、条約の承認(61条)、内閣総理大臣の指名(67条A)
 衆議院には解散(45条但書)があり、内閣が決定し天皇が解散する(7条3号)。
 衆議院が解散されると参議院は同時に閉会となる。国に緊急の必要があるときは、内閣は、参議院に緊急集会を開催するよう求めることができる(54条A)。
第5章 内閣
 行政権は、内閣に属し(65条)、議院内閣制(66条〜70条)をとる。
 衆議院で、内閣不信任決議案を可決されるか、または信任決議案を否決されると10日以内に衆議院を解散されない限り内閣総辞職をしなければならない(69条)。
 衆議院が解散されたときは40日以内に総選挙を行い、30日以内に特別国会を召集しなければならない(54条@)。
 内閣総理大臣の職務(72条等)と内閣の職務(73条等)をそれぞれ整理しておくこと。
第6章 司法
 すべての司法権は、最高裁判所および下級裁判所に属する(76条@)。
 最高裁判所は、内閣の指名に基づいて天皇が任命(6条A)する最高裁判所長官と内閣が任命(79条@)し天皇が認証する(7条5号)14名の裁判官の15名で構成される。
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所が指名した名簿によって内閣が任命する(80条@)。
 裁判を政府の政治的圧力から守る(司法権の独立)ためにどのような規定がおかれているか。またわが国の裁判所にはどのような違憲立法審査権がおかれているか(違憲審査制)。
第7章 財政
 国の財政を処理する権限は国会にあり(国会中心主義)(83条)、新たに租税を課しまたは変更するには法律によらなければならない(租税法律主義)(84条)。
第8章 地方自治
 地方自治の本旨(92条)は、国家の中に一定の地域を基礎とする団体が存在し、意思と目的をもち、機関によってその地域の公 共事務を処理する団体自治とその団体の行政を、住民の意思によって行なう住民自治からなることである。地方自治法とも合わせて理解すること。
第 9章 憲法改正
 @各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議する(96条@)。
 A国民の承認で過半数の賛成を必要とする(96条@)。
 B天皇が公布する(96条A)。
第10章 最高法規
 憲法は国の最高法規であって(98条)、天皇および国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う(99条)。
 憲法の必勝法は条文を中心に理解し記憶することにつきる。条文をカセットテープに録音して通勤や通学の行き帰りに繰り返し聞くことも暗記をするひとつの方法であろう。