◆論述が合否のわかれ目

 最後に論述について述べる。論述の合格対策は、陳腐な言い方であるがとにかく書くことである。長い文書を書くという機会は少なくなったかもしれないが、何かテーマを決めて書いてみることである。字のうまいへたは、とくに問題ではないが、ていねいに書くことだけは心がけること。自分は字があまりうまくないと思っている人は、楷書で一点一画をしっかり書くこと。わずか800字ぐらいのことである。60分しかないとアセッタリ、アワテタリした字を書くのではなく、「読んでください」という気持ちを込めて書くこと。
 論述に誤字、脱字、当て字は禁物である。いい加減な当て字を書かないで、わからないときはひらがなで書く。
 論述ではなによりも明快な論旨を一筋通す必要がある。そのためには、できるだけ具体的に書くこと。抽象的な文はどうしても読む人を飽きさせる。
@文章は簡潔に書く
 簡潔な文章にするには、やたらに長いセンテンスにせず、形容詞も使いすぎないようにする。わかりやすいことばを選ぶこと。句点(。)で切れる一つの文は、できるだけ短くする。事実を重視して、あまり形容詞は使わない。一文は、200字から250字ぐらいにおさえて、段落をもうける。改行は文章の風通しをよくする。
 簡潔さという点で、特に気を配らなければならないものに、文章の書き出しがあげられる。書き出しの三行か四行で決定づけられる。
 簡潔で、ずばりと問題を投げかける書き出しが必要である。
A論旨は明確に述べる
 800字ぐらいの短い論述では、明確に要旨を述べることが大切である。論旨を明快にするには、いいたいことを一つにしぼることである。あれもこれもと欲張ると、短い文章では尻切れトンボになってしまう。明快な論旨を論述のなかで果たすためには、まず文章の下ごしらえから始める。よい文章を書くにも、手順やルールがあり、それに準じて書くことが大切である。
 過去に出題された課題は、平成6年度が「円高が日本経済に与える影響について」、平成7年度が「規制緩和の経済効果について」、平成8年度は「インターネットの社会・経済に与える影響について」と課題が与えられ、インターネットが発展してきた背景およびその社会的影響と、課題に対するあなたの考え方を述べるように要求されるとともに、あなたの考え方にはインターネットの普及のメリット、デメリットに言及しながら、これに関して賛成か反対かの立場を明らかにすることと、さらにより一歩踏み込んだ高度な内容を論述するよう要求された。
B自分自身の主張
 であるから、ただ漫然と書くというのではなく、課題に対してきちんと自分の考えをすじみちを立てて述べ、最後にはハッキリと結論を出さなければならない。800字以内であるから720字以上800字以内に納めること。少なすぎてもいけないし、極端な話、1字でもオーバーすると不合格になる。そのためにも週に1回は60分で800字を書く訓練をすべきである。
 時事問題からテーマを選ぶ。書くときをたとえば就寝前の60分と決めたならば、この「60分」は厳守すること。時間の途中で止めないこと。今日のテーマは何にしようかと朝からあれこれ考えてはいけない。このテーマと決めたならば文章を推敲する時間も含め60分という制限時間内にすること。試験会場では原稿用紙と、もう1枚用紙が与えられるが、この用紙に下書きをするのではない。そんな時間の余裕はない。
 まず、この紙に大きく順番に「起」「承」「転」「結」と書く。
 「起」では、自分自身の体験から書き起こす。他人の体験ではない。自分の体験だから、微に入り細に入りそのまま書くことができる。ここで問題提起する。
 「承」では、問題提起を受け、新聞やテレビなどのいわば受け売りの知識で一般的な論調でもって書く。ここでは、社会分野の時事問題のために勉強していた時事用語などをふんだんに織りまぜながら論述すること。自分の意見を述べるのではなく、いわゆる社会一般的な論評をする。
 「転」じて、外国の例を引いたり、外国から日本を見た場合、また昔はこうであったなどと過去の経験などから視点を変えて論じてみる。
 「結」論として、ここで、自分自身の意見を述べる。具体的な解決策、自分がやろうとしている現実的な方策などを述べる。あくまでも建設的で前向きな意見で締めくくることであり、批判のための批判、後ろ向きな後退的意見にならないようにしなければならない。
 主題や材料が容易に見つかり、うまくまとめられそうな課題であれば問題はない。しかし試験では、思いもしなかった課題が出されることもある。意表をつく問題が出題されたとしても、まったく書けないということはない。次のような手順で課題に取り組むこと。
@自分がもっている情報の整理
 課題について思い浮かぶことを、それぞれ簡単にまとめて書き出してみる。構成のことなどはいっさい考えなくてかまわない。新聞、テレビ、雑誌、友人からの情報や、自分の体験から得た感想など、思いつくことをただただ書きつづればよい。
A書き出した情報を分類する
 次に、書き出した情報をその内容や視点によって分類する。事実やメリット、デメリットなどによって分類する。いちいち関係のある項目ごとにまとめて書き直すのでは手間がかかるので、文の頭に○や×などのマークをつけていくとよい。
B課題に対する視点を煮つめる
 最後に、分類した項目ごとに読んでいき、さらに思い浮かぶことがあれば書きたしていく。こうすることで、課題についてのイメージや、自分の意見・主張の方向づけがはっきりしてくる。
 どんな課題でも書けないということはない。意表をつくような課題が出されたときには、自分がもっている、ありとあらゆる情報を冷静に整理することからはじめることである。