第5節 他の国家資格との
    職域と業務範囲
    行政書士は他の資格の業務はできない

◆弁護士との職域

 行政書士は官公署へ書類を提出するが、弁護士、税理士など、他の国家資格の業務はできないとされる。行政書士法1条の2第2項「行政書士は、…書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことはできない。」と規定されている。他の法律というのは、弁護士法、税理士法、公認会計士法などである。

 弁護士法は 3条で「弁護士は、当事者その他関係人の依頼…によって、訴訟事件、非訟事件…その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」と業務を規定する。弁護士法72条で「弁護士でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件に関して鑑定、代理仲裁若しくはその他の法律事務を取扱い、又はこれらの斡旋をすることを業とすることができない。」とし、弁護士でない者が法律事務を取り扱うことを禁じている。
 ここで留意しておきたいのは、非弁護士行為はもちろんのこと、弁護士を斡旋することも業としてはいけないという点である。たとえば、行政書士が「当事務所には顧問弁護士○○○○がいて、どのような法律事件、法律相談にも対処します」と謳うのは問題であろう。

 さて、行政書士は「権利義務又は事実証明に関する書類」を作成するのが仕事であるが、行政書士法に規定する「権利義務に関する書類」と弁護士法の「その他の一般の法律事務」とはどのような関係にあるのであろうか。行政書士が業として作成できる書類と弁護士が業として作成する書類は、どこが違うのであろうか。
 行政書士法は昭和26年2月23日に制定され、弁護士法は昭和24年6月1日に制定されている。弁護士法の「その他の一般の法律事務」が行政書士法の「権利義務に関する書類」を包含するものであるとするならば、行政書士法は弁護士法を補足するものといわなければならず、弁護士の書類の範囲は行政書士の書類の範囲とオーバー・ラップする。
 実務的には弁護士がやらない業務、やりたがらない業務またはやれない業務を、行政書士が行うと解すればよい。