◆官公署に提出する書類とは

 行政書士の業務を規定した行政書士法1条の2第1項は「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。」が全条文である。ここから「行政書士は、官公署に提出する書類を作成するのが仕事」といわれるのである。
 しかし、これは、今までお話をしてきたように考えていただき、以下のように対処していきたい。
 まず相談、@「法務相談」をすることが第一である。相談だけで業務を終えてもいい。それから書類も作成していただきたいと依頼されたならば、A「書類を作成」する。この書類の作成だけで業務を終えてもいい。ところがさらに、官公署に提出する必要があると行政書士が判断したならば、ここではじめて、B「官公署へ提出する」ことになる。つまり、官公署へ提出することが前提で書類を作成するのではない。

 ここに「建設業許可申請書」がある。建設業を営もうとする者は、建設業の種類(業種)ごとに、建設大臣または都道府県知事の許可を受けなければならない(建設業法3条)ことになっている。この「建設業許可申請書」の書類の作成ならびに申請は行政書士の業務である。
 たとえば東京都知事の許可を受けるのならば、この書類は東京都庁に提出する。だから、建設業許可申請書は、官公署(この場合は東京都)に提出する書類である、といっていえないこともない。しかし、そこには役所に書類を単に提出する、提出さえすればたやすく受理されるというニュアンスがないか。

 そこが違う。官公署に提出する書類という以前に「権利義務と事実証明に関する書類」でなければならない。書類を提出しさえすればすべて受理され、許可されるのではない。許可を受けるためには、受けるだけの資格要件(許可の基準)を備えていなければならない。
 申請者は、@建設業を履行するに足る誠実性や金銭的な信用を有しているか、A経営業務を管理する責任者がいるか、B専任の技術者が置かれているか、等の審査を受ける。
 許可の基準があることを証明するために書類に書くが、重要なことは、それを事実として裏付ける疎明資料、原始証憑によって書類を作成するということである。当該申請については、この資料とこの書類によって間違いなくこの事実がある。よってこの書類を作成した、ということが必要なのである。
 この「建設業許可申請書」は、官公署に提出する書類であるという以前に事実を証明する書類なのである。「権利義務・事実証明に関する書類」の集積なのである。
 事実であると行政書士自身が確認する。そこで、それを書類にする。そして、その証明をすることによって行政書士の仕事は完了するのである。