◆権利義務・事実証明に関する書類

 「権利義務・事実証明に関する書類」とはどういうものなのかは、なんとなくわかってもらったとして、ではその書類の作成が、業として(仕事として)、誰から、どのようにして、行政書士に依頼されるのか、と疑問に思ったのではないだろうか。
 たとえば、不動産賃貸借契約書は不動産屋が作成するし、金銭消費貸借契約書は金を貸すほうが作成するであろう、履歴書にいたっては本人の自筆のはずで、いったいどこに行政書士が関与するところがあるのだろうか…。

 そう思うのも無理はない。街中や官公署のそばにある事務所にお客さんが飛び込んで来て、「行政書士さん、内容証明書を書いてください」「遺産分割協議書を作成してください」と依頼があるのではない。内容証明書の作成専門の行政書士などいるわけがない。
 しかし、業として不動産賃貸借契約書を作成することもあれば、内容証明書を作成することもある。
 会社が営業免許を申請するに際し、事務所を賃借しているのであれば賃貸借契約書の写しが必要である。もとより賃貸借契約書がありそうなものであるが、たまたま社長個人の家を借りている場合にはないことがある。そこで申請書の作成に付随して、社長個人を貸し主、会社を借り主として賃貸借契約書を作成する。
 賃貸借契約書は「権利義務・事実証明に関する書類」で、作成するのは行政書士の業務であるといっても、賃貸借契約書だけを作成するということはあり得ない。

 同様に、内容証明書の作成を考えてみよう。
 ある件で依頼者の相談を受ける。その時点ではまだ内容証明がどうだなどという段階ではない。相談を進めるに従ってだんだんと、これは内容証明書を作成したほうがいいのではないのかという結論に達する。作成するとして、どのような内容でどのように書くのかを顧客と相談する。そこではじめて内容証明書作成が仕事になるのである。

 「行政書士さん、内容証明書を書いてください」と、内容証明書にするという知識がある人ならば、その人は本屋に行って「内容証明書の書き方」という本を買い、自分で作成する。