◆相談は無料ではない

 書類の作成までに至らず、相談だけで仕事を終えていい。
 依頼者が行政書士の話を聞いて、「とてもよくわかった、自分で書類を作成できる」と考えたならば、それはそれでいい。説明がよかったのである。物ごとの道理としくみについて素人でもわかりやすく話したのである。誇りに思っていい、喜ぶべきことである。

 書類を書かなかったから仕事にならなかった、お客を逃がしたのではない。
 簡単なことをことさら難しく講釈して成り立つ「士業」もあると聞くが、行政書士はその必要がない。試験が難しい(といわれる)資格ほど、その仕事はわりとそうでもない。

 行政書士は試験が簡単(といわれる)な分、仕事はちょっとハードなものがある。依頼者が一見して自分でできると考えたとしても、実際はかなり手数がかかるものである。一度自分でやったとしても、その後は行政書士に依頼してくるのがゆきつくところである。
 ところで、前出のように相談だけで終えたとしても無料ではない。行政書士報酬額表の相談料の規定に基づき相談報酬をもらう。これくらいは無料報酬にすべきだ、友だちだから、近所だから、将来は客になるから、といってサービス(無料報酬)にすべきだという人もいる。しかし、行政書士のサービスというのは、タダでやったり、安くやったりすることではない。とくに開業したての行政書士にその傾向があるが、それだけはやめたほうがよい。
 行政書士として、サービス(無料報酬)でやらなければならないことはもっとほかにたくさんある。仕事でやるべきことと、社会奉仕(ボランティア)でやるべきことを分けなくてはいけない。
 もし近所の人たちのために、行政書士としてボランティアをしたいということであるならば、たとえば、毎月第2土曜日を無料相談日と決める。事務所を開放して、その日に限って無料で相談に応じる。さらにひとりで行なうのではなく、何人かの行政書士と共同で実施してもいい。行政書士だけでなく、法律や税金などさまざまな相談に応じられるように弁護士や税理士など他の士業者にも協力をしてもらう。それでこそボランティアである。

 本当は報酬をもらうつもりだったが、たまたまお金がもらえなかったから、後でこれはボランティアだったと言い訳するのならば、そんな人は行政書士をやめなさい。
 「俺たちは、人助けをしているんじゃない。俺たちが思いあがりをしないために、俺たちは、お金をもらうんだ。」(必殺仕置人中村主水より)