◆実務は、いつも相談から始まる

 「会社をつくりたいのですが?」
 「何を用意したらいいでしょうか?」
 実務はいつも相談から始まる。事務所を訪れる依頼者、顧問先の社長からの電話、おしなべて相談である。一つひとつていねいに、わかりやすく、応えていくことが仕事である。
 「会社設立の書類を書いてください」と、いまだかつて依頼されたことはない。会社をつくりたいと思っても細かいことはわからないので専門家に頼む。その書類の書き方ばかりではなく、会社をつくるのに相談したいことがあるから頼むのである。

@会社にするメリット(merit)は何か?
 商売を始めるが、会社にしたほうがいいのか、個人事業で始め たほうがいいのか。会社にすると何が得なのか。個人事業とどこがどう違うのか。デメリット(demerit)はないのか。
A何年も個人事業でやってきたが、会社にしたら個人のときの設備や商品などの財産はどうなるのか。会社が引き継いでくれるのか。
B会社にするとしたら、株式会社がいいのか、有限会社がいいのか、どう違うのか、メリットは何か、デメリットは何か。
C会社の商号には、どのような決まりがあるのか。
D会社の目的には、どのよう表現の仕方があるのか。
E会社の資本金はいくら以上で、株主は誰と誰なのか。
F取締役や監査役にはどのような責任があり、どんな人が適任なの か。
 このようなことも相談に乗り、わかりやすくアドバイスしていく。

 とかくこ難しく専門的に話しがちなことも平易な言葉で語る。それができるのは実は法律の知識だけではなく教養のなせるワザである。
 行政書士の業務の中で「書類を書く」という原始的な行為が占める割合は小さいというのもここにある。会社を設立するというのは、書類を書いて登記所へ出すことではない。人の誕生(と同じ)と考えられるだけの感性の豊かさやバランス感覚なども必要である。